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6/9 好きな歌詞③(ヤバT,吉澤嘉代子)

①ヤバいTシャツ屋さん

「ヤバみ」

曲の出だしで英語をむやみに使うバンドを否定したり、サビもヤバTらしいヤバい詩なのだが、何気に深い歌詞が混ざっている。

日本語の乱れがどうたらこうたら言うけど

いつの時代でもおんなじ

ふんいきよければそれで全然大丈夫だから

まぢウケんね

これは自分も最近よく思うことだ。正直近頃まで、口語を書き言葉で使ったりすることや、ら抜き言葉が苦手だったのだが、言葉の変化は時代によるものだし伝わったらいいかという考えになってきた。清少納言も当時の言葉の乱れを指摘していたけど、結局現代語は古語からかけ離れているし。この詩でおもしろいのは「ふんいき」や「まぢ」など、乱れた日本語を皮肉のようにあえて使っているところである。

「歌詞に意味がないと!」

「説得力がない!」

もうそんな時代じゃない!?

「理解できないものばっかりはやってく!」

いつまで置いてかれちゃってんの

今の邦ロックシーンの真理を突いていると思う。インターネット社会で様々なバンドが出てきて、ヤバTも含め個性の強いバンドのことを、メッセージ性もないし何が良いんだと思う人もいるであろう。しかし現実としてそういうバンドが流行っているのであって、そう思う人がついていけていない(置いていかれてる)、もしくは認めたくないだけなのではないか。歌詞に大して意味がない曲も好きな自分にとっては、とても爽快な詩なのである。

 

無線LANばり便利」

「Yeah」を「家」とかけるところから始まり、Wi-Fiに関するあるあるを並べる詩から始まる。この曲の詩で一番好きなのは、やはりサビだ。

無線LAN LAN LA LAN LAN LAN LA

LAN LAN LAN LAN LA LAN LAN LAN LA

LAN LAN LAN LAN LAN LA LAN LAN LAN

LAN LAN LAN 無線LAN 有線LANより便利

 小山さんは絶対このサビありきでこの詩を書いているだろう。ドヤ顔が見える。何気にラブソングになっていたりするのだがもはやどうでもいい。こんなにインパクトのあるサビを持つ曲にはそうそう出会えない。

 

吉澤嘉代子

最近どハマりしているシンガーソングライターである。ヤバTの小山さん同様に、この人も相当の奇才だ。

「ガリ」

少しだけ高級なお鮨のパックが半額

恋人の家のドア

ひらくみたいにふたを開けたなら

何か足りない

ガリ ガリ ガリがない

あいつがいなきゃ締まらない

ガリ ガリ ガリがない

あいつがいなきゃ終わらない

今夜が 終わらない

お鮨のパックを開ける仕草の例えもおもしろいのだが、サビに持ってくるのがガリなのがずるい。しかもガリがないことに対する主人公の残念さが少しわかってしまうのも悔しい。

ガリガリになっちゃいそうだ

ダーリンダーリン恋しくて

そこにいるのを忘れてしまうくらい

あたりまえだったから

ガリ ガリ ガリがない

いつでもあると思ってた

ガリ ガリ ガリがない

どうして付け忘れたのか

この人のガリへの熱はすごい。「そこにいるのを忘れてしまうくらい あたりまえだったから」、このフレーズの対象がガリである。しかもガリは何かの比喩ではなく、本当にただのガリなのだ。ずるいなぁ面白いなぁ。

 

「ブルーベリーシガレット」

不良の男の子を好きになってしまう少女の歌であるが、ブルーベリーシガレット(タバコの形をしたラムネの菓子)を絶妙にサビに持ってくる。

あなたが仲間とたむろしている場所

うつむきあしばや通りすぎる日々

そんな真面目ちゃんはもう卒業

駄菓子屋で例のブツを買う

ブルーベリーシガレット

不良になったきぶん

ワルなあなたにお似合いの

カノジョになるため

自分は主人公が背伸びをしている(しようとしている)詩が好きである。これは石野真子の「私の首領」の「はじめての香水も迷惑そうに自然がいいよと 横向いた」という詩にも共通する。

不良に「背伸び」しようと、タバコ型の菓子をくわえる。「背伸び」感MAXである。「きぶん」「カノジョ」などの単語を、あえて漢字にしないのも、「背伸び」感を狙ってのことであろう。なぜ自分は「背伸び」感がある詞が好きなのだろう。まだそこに共感できるほど精神が幼いのか、それともその時期を脱したからこそ客観的に微笑ましく見えるのか、自分でもわからない。

 

吉澤嘉代子は他にも「ケケケ」という恋愛のために剃られる無駄毛に同情(?)する詩の曲を書いたかと思いきや、「うそつき」というレズビアンの子が相手に想い伝えられない複雑な心情を書いた詩の曲を書いたり、本当に面白いミュージシャンである。これからもっと売れないかなぁ。

 

次こそはブルハとハイロウズについて書きたい。