3/2② 日記らしい日記
鴨川のほとりで大好きな本を読む。
そんな経験をまだしたことがないなと、ふと思い、下宿からすぐの鴨川のほとりに降りる。
上機嫌で本を読みだすが、ふとあることに気づく。
「寒い。」
こんなこと前にもあったなと回想すると、わずか二日前の出来事で、そのときもデルタでお酒を飲もうとしてまだ寒いという事実に気づいたのであった。
あっはっは二日前の出来事を忘れるなんて呑気なものだな、こんななんともない感想さえ鴨川のほとりだとなにか趣深いように思える。
また寒いといっても常に寒いわけではなく、日差しが出ている間は暖かい。しかし逆に雲が太陽を隠してしまうと寒くなる。
本を一章ほど読んだあと、とても大きい雲が太陽の方に流れてくるのを見て切り上げたが、天候によって自らの行動が影響されるということが新鮮に思えた。子どものころは親に「暗くならないうちに帰ってきなさい」とよく言われたものなのに。
外に出て思いがけないことに気づく喜びと、日記らしい日記を初めて書けた喜びでいっぱいである。
ありがとう鴨川。